PHP新書「仏教の常識がわかる小事典」松濤弘道2002

今年頭にお亡くなりになってるようです。
仏教史と各宗派の教義まで、高校日本史で学習する内容より一、二歩踏み込んだ内容。
仏教自体が拡大しいろいろな宗派に分かれているだけあって、どうしても一つ一つが薄くなっている。
筆者は宗教の必要性についてかなり強い確信を持っているようで、かなり推してくる。こういう推し方をされると一歩引いていなしたくなるのが俺の性だが…
(ごめんやっぱり、説教臭いw)


 *序:日本人にとって仏教とはなにか
"日本人の精神的支柱となるものは、自分自身の信念ともいうべき「宗教心」であると考える。ここでいう「宗教心」とは、現存の宗教教団のことではなく、われわれ自身が選びとり、当然持つべき宗教的信念を指す。"24
 *一:仏教という大河の流れ
一章:仏教の発生から日本伝来まで。
 *1-1開祖・釈迦とはどんな人か?
釈迦"「わたしは物質的にはほんとうに恵まれていた 〜略〜 しかしながら、そうした豪奢な生活を送っていても人間は老いを免れない。私も老いてゆくにもかかわらず、他の老衰してゆくものを嫌悪している。これはわたしにふさわしくないのではなかろうか。 〜略〜 こう考えたとき、私の驕りはことごとく消え失せてしまった」"36
"すべての生物は自己の存在に執着し、他の犠牲のもとに生き延びている。そこで釈迦は我々が他人を害することなしに生存するには、各自の特異性を認めつつもすべての生命の同一存在(一如)を追体験することだと考えた。"38
"すべての生命の根底にあるものを人々は区分し、自分のものを他人のものと細別している。この差別は人間の「盲目なる意志」と呼ばれる無明(執着の根源)から生まれ、これに執着することによって一如の世界を多様な多元の世界と錯覚し、そこから利己的な自我意識を芽生えさせ、人間同士に矛盾や誤解や抗争を生み出している。"38
 *1-2仏教の基本的な教えとは?
 *1-3インドから日本への仏教の流れ
 *1-4わが国の仏教の歴史
 *二:日本仏教の各宗派
各宗派の由来、宗祖、教義の特徴、本尊、名僧録、今日的意義など
 *2-1南都六宗のあらまし
 *2-2天台宗系のあらまし
 *2-3真言宗系のあらまし
 *2-4浄土宗系のあらまし
 *2-5浄土真宗系のあらまし
 *2-6臨済宗系のあらまし
 *2-7曹洞宗系のあらまし
 *2-8日蓮宗系のあらまし
 *2-9新仏教教団系のあらまし
 *三:仏教と信仰のあり方
 *3-1ほんものの宗教と擬似宗教の見分け方

一.その宗教が病気治しや商売繁盛など現世利益をうたい文句にしていないかどうか。
二.その指導者の言動に裏表がなく、本当に信用がおけるかどうか。
三.その指導者が人生の苦労を知っており、他人の苦しみや悲しみに心から同情し、親切心を持っているかどうか。
四.その教団が公共的な奉仕事業に参加しているかどうか。
五.その教団が他の人々からも信用されているかどうか。
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現世利益をうたう宗教でカルトでない宗教ってあるし、二三についてはなかなか外部からでは読みきれない部分がある。四にしても、最近は奉仕活動を通して地域に溶け込んだりするカルトが居るし。五については、既にその教団に関心を持ったときにいくらかそちら側に取り込まれて肯定的な人間しか残っていない場合もあろう。
少々モノサシとしては頼りない印象。
 *3-2日本仏教宗派の行方