青春文庫「自分の中に毒を持て」岡本太郎1988

だいたい俺はこういう啓蒙書の類は一笑に伏して店の書架に戻すのだが、
なぜか、なぜかうちの書架に入っている啓蒙書。
読み流すつもりで読んだが…結構来るものがあった
この本がクるあたり、俺もまだ美術とか芸術とかその辺に消化しきれないものが残っているんだな…

1 意外な発想を持たないとあなたの価値はでない

1-1自分の大間違い

"人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。ぼくは逆に、積みへらすべきだと思う。財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。"11
"自分に忠実だなんていう人に限って、自分を大事にして、自分を破ろうとしない"11
"“人間らしく”生きる道を考えて欲しい"12
"与えられた枠からはみ出して、いわば無目的的に自分を広げていくとすれば、その先は真暗な未知、最も危険な状況に落ち込むことを覚悟しなければいけない。 それは極端にいえば死を意味する。"18
"売らないという前提で絵を描き、あらゆる面で権威主義にたてつき、いわば常識を超えて、人のいわないことをあえて言い、挑んだ。"20

1-2“モノマネ”人間には何も見えない

"挑戦した上での不成功者と、挑戦を避けたままの不成功者とではまったく天地のへだたりがある。挑戦した不成功者には、再挑戦者としての新しい輝きが約束されるだろうが、挑戦を避けたままでオリてしまったやつには新しい人生などはない。"26
"食えなけりゃ食えなくても、と覚悟すればいいんだ。それが第一歩だ。"28
"臨在禅師という方はまことに立派な方で、「道で仏に逢えば、仏を殺せ」と言われた、素晴らしいお言葉です、という一説があった。 〜略〜 確かに鋭く人間存在の真実、機微をついていると思う。"32"「出逢うのは己自身なのです。自分自身に対面する。そうしたら、己を殺せ」"33

1-3一度死んだ人間になれ

"何か、これと思ったら、まず、他人の目を気にしないことだ。また、他人の目ばかりでなく、自分の目を気にしないで、萎縮せずありのままに生きていけばいい。これは、情熱を賭けられるものが見つからないときも大切だ。、つまり、だめならだめ人間でいいと思って、だめなりに自由に、制約を受けないで生きてく。"35
"何をすればよいのか、それがわからない、と言うかも知れない。それが、ごく一般的なのだ。誰もが何かしなければいけないと思っている。ところがその“何か"とは、いったい何なのか、よく考えてみると、てんでわからない"36

1-4直線と曲線の違い
1-5“捨てる主義”のすすめ

"何かを始めても、続かないんじゃないか、三日坊主に終わってしまうんじゃないか、なんて余計な心配はしなくていい。 〜略〜 途中で放棄しても、放棄してしまったということは余り考えない。続けなければならないと義務に縛られて書く必要はない。"50
"「いまは駄目だけれど、いずれ」と絶対にいわないこと。“いずれ”なんていうヤツに限って、現在の自分に責任を持っていない"51
"現在の自分に責任をとらないから懐古的になっているわけだ。"52
"ベストをつくさねばならないのは、現在この瞬間にある。それを逃れるために“いずれ”とか“懐古趣味”になるんだ。"52
"自信なんてものは、どうでもいいじゃないか。そんなもので行動したら、ロクなことはない"56
"そもそも自分を他と比べるから、自信などというものが問題になってくるのだ。56"
"「己を殺せ」といった話をしたけれど、あれは「禅」じゃなくて人生の極意なんだ。 〜略〜 自信なんていうのは相対的価値観だ。誰々よりも自分は上だ、とかいうものでしかない。"57

1-6らくに生きる人間は何を考えているか

"画家にしても才能があるから絵を描いているんだろうとか、情熱があるから行動できるんだとか人はいうが、そうじゃない。 逆だ。何かをやろうと決心するから意思もエネルギーもふき出してくる"61
"恐怖感を持っていないような顔をしている人でも、内心、恐怖感をもっている人はたくさんいるから、誰かと会ったら、“ひょっとしたら、この人も恐怖感をもっているかもしれない”と思って、相手に同情してやる。また、同時に自分自身にも同情してやる。“俺もお前も本当にかわいそうな奴だ”と思うんだ。"64
"プライドと言うのは絶対感だと思う。 自分がバカであろうと、非力であろうと、それがオレだ、そういう自分全体に責任感を持って堂々と押し出す。それがプライドだ。"65
"プライドがあれば、他人の前で自分をよく見せようと言う必要はないのに、他人の前に出ると、自分をよく見せようと思ってしまうのは、その人間にコンプレックスがあるからだ。"66
"弱い人間とか未熟な人間のほうが、はるかに膨れ上がる可能性を持っている"68
"センシーブルな人間なら、何かのはずみで押し寄せてきた人気が、自分自身とは関わりない、虚構の世界に渦巻いているということに気づかないはずはない"70
"この世の中には、完成なんて事は存在しないんだ完成なんてことは他人が勝手にそう思うだけだ。世の中を支配している"基準"という、意味のない目安で他人が勝手に判断しているだけだ。"72
"うまい奴ほど自分がどの辺の位置に入るのか、まず“基準”のほうを先に考える。"72
"下手なら下手なりに、自分は下手なんだと決意すれば、もっと自由な歌い方もできる"72

1-7エゴ人間のしあわせ感覚

"人類全体の痛みをちょっとでも感じ取る想像力があったら、幸福と言うことはありえない"74
"危険なこと、辛いこと、つまり死と対面し対決するとき、人間は燃え上がる。それは生きがいであり、そのときわきおこるのがしあわせでなくて“歓喜”なんだ"75
"人間は精神が拡がるときと、とじこもるときが必ずある。 強烈に閉じこもりがちな人ほど、逆にひろがるときがある。 〜略〜 行きづまったほうがおもしろい。だから、それを突破してやろうと挑むんだ"76
"芸術なんてもの、それをみきわめて捨てたところから、開けるものなんだ。 芸術にあこがれたり、恐れたり、絶叫したり、追いかけたりしているあいだは、まだ本当の芸術に到達することはできない。"77

1-8好かれるヤツほどダメになる

"生きるということを真剣に考えれば、人間は内向的にならざるを得ないのだ"80
"自分は気が弱い、怒れない人間だと、むしろ腹を決めてしまうほうが、ゆったりして、人からその存在が逆に重く見えてくる"82
"ついまわりの期待するようにふるまってしまったり 〜略〜 つまりはみんなに悪く思われたくない、自分がかわいい一念なのだ。82"
"自分を大切にしすぎるから、いろいろと思い悩む。"84
"言葉は全て自分以前にすでに作られたものだし、純粋で、ほんとうの感情はなかなかそれにぴったりあうはずはない。"86

2 個性は出し方薬になるか毒になるか

2-1“爆発”発想法
2-2道は一本か、十本か

"人間誰でもが身体障害者なのだ。たとえ気取った格好をしてみても、八頭身であろうが、それをもし見えない鏡に映してみたら、それぞれの絶望的な形でひんまがっている。しかし人間は、切実な人間こそは、自分の歪みに残酷な対決をしながら、また撫でいたわりながら、人生の局面を貫いて生き、進んでいくのだ。"106

2-3正義の裏・悪の裏

"生涯を通じて、瞬間瞬間の「危険に賭ける」 〜略〜 日常の空しさから逃げ、はみ出してとっぴょうしもないことをやる、そんな特殊な行動や出来事などを言うのではない"113

2-4成功は失敗のもと

3 相手の中から引き出す自分それが愛

3-1愛の伝え方を間違えると
3-2“その一瞬”を止める方法

"人間には、自由という条件が必要だ。自由というのは、単に気楽にやりたいことをやるのではない。そうではなく、できるかぎり強烈な人生体験を生きるのが、自由の条件なのだ"145
"多くの他人との出会いによって、人間は“他人”を発見する。“他人”を発見するということは、結局“自己”の発見なのだ。つまり“自己”を発見するためには、大勢の協力者が必要になる。"145

3-3男と女に知的関係はあるか

"夫婦がいつも新鮮な気持ちでいるためにはどうしたらいいかというと、最も親密な相手であると同時に、お互いが外から眺め返すという視点を忘れてはいけない。ところがほとんどの場合、好きな相手と一緒に生活すると、ただ安心して相手に寄りかかってしまうからいけないのだ"150

3-4自分の愛とその人の愛の違失ったときから始まる愛い

"男女同権が実現されるのはいいことだけれど、それは男と女が同じように行動し、同じ役割を果たすことではないはずだ。"152

3-5失ったときから始まる愛

親子関係の中で、母親に対等な大人のとして扱われたと書いている。
以前やっていたNHKのドラマでは母親にブン回される太朗だったよなぁということを思い出した。
当人を見ていない以上、憶測だし、何参照しても断片だよなぁという印象。
人間どれだけ自分のことをわかっているかを考えると、どう受けとるかは悩むなあ

4 あなたは常識人間を捨てられるか

4-1きれいになんて生きてはいけない
4-2頭を遊ばせて世の中をみてみよう
4-3“爆発”の秘密
4-4自分を笑ってごらん
4-5むなしさの生みの親

"絵描きは絵描き、学者は学者、靴屋靴屋、役人は役人、というように職業の狭い枠の中に入ってしまって、全人間的に生きようとしない、それが現代の空しさなんだ"213

4-6あなたは何に燃えたいか